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NEWS ZERO

  • NEWS ZERO

July 19, 2011

重職心得箇条 おわりに

全十七条を終えて、一息ついているところである。
おそらく、このブログの中でも、一二を争う不人気コンテンツだったと思う。
結局、トラックバックも、一個も付かなかった。

ただ、ある程度以上の組織の中枢にある者、これからその地位につこうとする者にとって、必読の書である事は、これからも変わらない。

似たような書に、ドラッカーの「マネジメント」がある。
しかし、これは、欧米人の主にビジネスシーンを想定した啓蒙書である。

その多くは、日本の企業にも当てはまる。
しかし、微妙に違和感を感じる部分もある。

反対に、重職心得箇条の全てを現在の日本企業に当てはめると、アメリカナイズされつつある今の日本のビジネスシーンには、しっくり来ない部分も存在する。

それは、時代に合わせて、我々が読みこなさないといけない部分なのだろう。

金科玉条のごとく、一字一句当てはめるのではなく、著者が「何を言いたかったのか」を捉え、その精神を学ぶ事こそ、我々に必要な作業なのだと思う。

そう言うとらえ方をする限り、この重職心得箇条は、いまだに、輝きを放つ経営者必読の書であり続けると思う。

いつの日か、「Issai・Drucker・Sato」なる日本を代表する経営者が出現する事を祈って、この章を終わりにしたいと思う。

重職心得箇条17.初政

(原文)

人君の初政は、年に春のある如きものなり。先人心を一新して、発揚歓欣の所を持たしむべし。刑賞に至ても明白なるべし。財帑(ど)窮追の処より、徒に剥落厳沍(はくらくげんご)の令のみにては、始終行立(ゆきたた)ぬ事となるべし。此手心にて取扱あり度ものなり。

(口語訳)

人君が初めて政事をする時というのは、一年に春という季節があるようなものである。まず人の心を一新して、元気で愉快な心を持たすようにせよ。刑賞においても明白でなければならない。財政窮迫しているからといって寒々とした命令ばかりでは結局うまくいかないことになるだろう。ここを心得たうえでやっていきたいものである。

出典:本章冒頭トピック参照


まさに人の心の機微をついた言葉となっている。
確かに、無い袖は振れぬ訳で、いい顔をしてばかりはいられないと言う場合の方が、最近は多いと思われる。

しかし、「それしかない」とはいえ、そればかりでは人は動かない、と言う事だろう。

アメリカなどでは、優秀なマネージャーの特質は、どれだけ多くの従業員をレイオフしたかで決まる、と言う時代があった。
まさに、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代であった。

ここら辺が、日本式組織運営法との違いが、一番大きい部分だろう。

アメリカでは、労働は、雇用契約の上に立脚するもので、それ以外の制約は存在しない。経営側も、不要とあればバッサリと切るし、勤労者も、必要があれば、さっさと職場を変える。
これが、「ビジネスライク」と言う事だろう。

しかし、日本では、そうはいかない。
かつてのように、「会社は家」「従業員は家族」などという神話は、終身雇用制の崩壊と共に消え去りつつあるが、それでも、アメリカなどのように、スパッと割り切れない部分が残っている。

おそらく、日本とアメリカでは、「忠誠心」の意味も、微妙にずれているはずだ。

この一斎先生の一文は、あくまでも、日本式組織運営法という大前提の上に立っている。
そして、それ故に、我々に馴染みがいい。

転属先で、大規模なリストラを断行する事が、最初の業務として期待されている場合でも、このことを念頭に置いておくだけでも、大きな違いが生まれるだろう。

「冷徹に切られた」のと、「まさに、涙をのんで退職を依頼された」のでは、雲泥の違いがある。

合理的なだけでは、日本人は動かない、ということだろう。
そのまま当てはまらない場合でも、心の底には忍ばせておきたい一文である。

July 12, 2011

重職心得箇条16.機密

(原文)

物事を隠す風儀甚あしし。機事は密なるべけれども、打出して能き事迄も韜(つつ)み隠す時は却て、衆人に探る心を持たせる様になるもの也。

(口語訳)

物事を何でも秘密にしようとする風儀は非常に悪い。大切な間題は秘密でなければならぬが、明け放しても差し支えのない事までも包み隠しする場含には、かえって人々に探ろうという心を持たせるようになってくる。

出典:本章冒頭トピック参照


たまたま、であるが、まさにタイムリーな指摘になっている。
福島原発の事故において、公開すべき事まで隠したあげく、かえって大事になってしまっている。

内閣に上げられた情報の全てを公開したら、とんでもない事になるのは、想像するまでもないが、何でもかんでも機密にしてしまったら、どういう事になるか?の、非常に分かりやすい例になってしまった。

結果、「衆人に探る心を持たせる」様になってしまった。
もう、内閣も東電も、誰も信用しないだろう。

かかる緊急時に、一国の総理を替えている場合ではないが、事ここに至っては、替えざるを得ないだろう。
誰にも信頼されない総理では、何もうまくいかないだろうから。

June 18, 2011

重職心得箇条15.風習

(原文)

風儀は上より起るもの也。人を猜疑し、蔭事を発(あば)き、たとへば、誰に表向斯様に申せ共、内心は斯様なりなどなど、掘出す習は甚あしし。上に此風あらば、下必其習となりて、人心に癖を持つ。上下とも表裡両般の心ありて治めにくし。何分此六かしみ(難しみ)を去り、其事の顕れたるままに公平の計ひにし、其風へ挽回したきもの也。

(口語訳)

風儀というものは上の方から起ってくるものである。人を疑ってかかり、隠されている事まで発き、例えば「誰某に表向このように言ったけれど、実はこうなのだよ」などとほじくり出す習いは非常に悪い事である。上にこのような風儀があれば、下は必ず見習い、人心に悪い癖がつく。上下ともに心に表裏が出来、治め難くなってくる。従ってこのようなむつかしみを去り、その事の現われたまま正直に公平にやれるようその風へ挽き回したいものである。

出典:本章冒頭トピック参照


これは、難しい。誰であっても、至難の業ではないだろうか。

組織にあって、それなりの地位にある時、大なり小なり、最下層の者には言えない「オフレコ」が生じてくるものである。
そう言う状況では、表向きは建前を言い、上層部で本音で話し合うという事が起きがちである。

それは、一概に悪い事と即断はできない。

それなりの規模の組織にあって、さわやかな風が吹き通るような透明な組織など、滅多にあるものではない。

ただ、それではいけない、と、一斎先生は説く。
うーむ、まさに、その通りである。

上層部だけのオフレコは組織に必要、なのではなく、「必要悪」であると、肝に銘じる必要がある。
良い悪いで言えば、悪い事、もしくは、良くない事に分類される事なのである。

組織の風通しが悪くなれば、空気は停滞し淀む。淀んだ組織は、活力を失い、滅びへの道を歩き始める。

それを避け、風通しを良くするためには、この点に留意せよ、と言う事なのだろう。

うーん、忘れないでおこう。
内閣の面々の悪口を書いている場合じゃない。今回は。

June 07, 2011

重職心得箇条14.手数

(原文)

政事と云へば、拵(こしらえ)へ事繕ひ事をする様にのみなるなり。何事も自然の顕れたる儘にて参るを実政と云ふべし。役人の仕組(しくむ)事皆虚政也。
老臣なと此風を始むべからず。大抵常事は成べき丈は簡易にすべし。手数を省く事肝要なり。

(口語訳)

政事というとこしらえ事、つくろい事をするようにばかりなるものである。何事も自然に現われたままでいくのを実政というのであって、役人の仕組むような事は皆虚政である。
殊に老臣などは役人の模範であるから、こういう悪風を始めてはならない。通常起こる大抵の仕事は、できるだけ簡易にすべきである。手数を省くことが肝要である。

出典:本章冒頭トピック参照


これは手厳しい。一斎先生、よほど、幕府の役人連中に、業を煮やしておられたか。

しかし、大略に置いては、ほとんどの人が首肯しうる一文だと思う。

役人、今で言う国家公務員、そして、その中の一部である官僚のやる事、作り出す事は、無駄が多く、そのほとんどは、無駄である。

ただ、幕府にせよ、政府にせよ、その屋台骨を支え、血肉となって、実際に動かしているのは、彼らである事は、忘れてはならない。

ここで一斎先生が言っているのは、あくまでも、「重職の心得」なのである。
目を離せば、いたずらに制度を増やし、その複雑さを増加させていく。
しかも、その一つひとつは、「うーん、まあ、この程度は仕方ないか」と思える程度の小幅の変化でしかない。

でも、うっかりしていると、いつの間にか奇々怪々な制度に変わっており、それに精通した役人でないと、右も左も向けなくなっている。

それを未然に防ぎ、既に存在している、いたずらに複雑なだけの無意味な制度に風穴を開け、風通しの良さを維持する事こそ、重職の役目であると説いている。

官僚の指示のまま操られている大臣。
いたずらに官僚とぶつかってばかりいる大臣。

今の内閣には、皆無ですよね? そんな人。

May 28, 2011

重職心得箇条13.釣合

(原文)

政事に抑揚の勢を取る事あり。有司上下に釣合を持事あり。能々(よくよく)弁(わきま)ふべし。此所手に入て信を以て貫き義を以て裁する時は、成し難き事はなかるべし。

(口語訳)

政事においては抑揚の勢とて、或いは抑えたり、或いは揚げたり調子をとらねばならぬことがあり、また部下上下の間に釣合を持たねばならぬこともあって、よくよくこれをわきまえねばならない。このところを充分心得たうえで、信を以って貫き、義を以って裁いていけば、成し難い事はないものである。

出典:本章冒頭トピック参照


6条の公平と、若干バッティングする内容である。
公平を旨としながらも、時には、バランスを考えて、対処しなければいけないと説く。

じゃあどういう場合に公平にして、どういう場合にバランスを取るのか。
その答えが、「信を以て貫き義を以て裁する」と言う事なのだろう。

自らの中の「信」「義」をよりどころに、ケース・バイ・ケースで対処していかなければいけない、と言う事になる。

組織の中の人間関係というのは、無数のパターンがあり、状況がある。
頑なに「公平」を貫く硬直的な対応もいけないし、柱となるべき信念を持たずに、バランスだけを取っていてもいけない。
まさに、日々刻々変化していく「水物」なのだろう。

幕末を目前に控えた時代にあって、幕府の重要な部門を任されて、人間関係の荒海を渡らざるを得なかった一斎先生の、過去の苦渋の日々が偲ばれる。

論語、朱子学に凝り固まった時代にあって、一斎先生の柔軟さ、現実主義的側面がうかがい知れる一条となっている。

May 21, 2011

重職心得箇条12.定見

(原文)

大臣たるもの胸中に定見ありて、見込たる事を貫き通すべき元より也。然れども又虚懐公平にして人言を採り、沛然と一時に転化すべき事もあり。此虚懐転化なきは我意の弊を免れがたし。能々視察あるべし。

(口語訳)

 大臣たるもの胸中に一つの定まった意見を持ち、一度こうだと決心した事を貫き通すべきであるのは当然である。しかしながら心に先入主、偏見をもたないで公平に人の意見を受け入れ、さっとすばやく一転変化しなければならない事もある。この心を虚しうして意見を聞き一転変化することができない人は、我意が強いので弊害を免れることが出来ない。よくよく反省せられよ。

出典:本章冒頭トピック参照


まず、現在のお歴々には、これがない。

定見とは、それまでの学習と人生経験によって築き上げられるものだろう。
当然ながら、学習とは、大学までの勉強に限らない。社会に出てからも、折に触れて、学んで来た事全てを指す。

これは、ただ、本を読んだだけでは駄目だし、人の話を漫然と聞いていただけでは駄目である。
真摯に学ぶ態度と時機を得ないと、蓄積されていかないものだと思う。

しかし、なまじ正しい正見を持つと、それに固執し、容易には、直せなくなる。
ここで言われているように、「虚懐公平」に人の意見を入れられるか、は、なかなか難しい。

相手が、自分よりも目下だったり、若年だったりすると、至難の業となる。

かくして、功なり遂げた者による「老害」が、発生する。

定見の無い指導者に率いられるのも、過去の成功に固執する老害も、等しく組織の危機である。

もちろん、「虚懐転化」とは、唯々諾々と周囲に従うのとは、全く違うので、お間違えの無いように。

……聞いてます? 某総理さま。

April 18, 2011

重職心得箇条11.包容寛大

(原文)

胸中を豁大寛広にすべし。僅少の事を大造に心得て、狭迫なる振舞あるべからず。
仮令才ありても其用を果さず。人を容るる気象と物を蓄る器量こそ誠に大臣の体と云ふべし。

(口語訳)

 心を大きく持って寛大でなければならない。ほんのつまらぬ事を大層らしく考えて、こせこせとした振舞をしてはならない。
たとえ素晴しい能力を持っていても、それではその能力を発揮させることができない。人を包容する寛大な心と何でも受けとめることのできる度量の大きさこそが、まさに大臣の大臣たるところというものである。

出典:本章冒頭トピック参照


まさに、「該当者無し」と言った有様だ。
自民党時代まで含めても、近年は、やはり、該当者はいないようだ。

石破茂元大臣などは、結構、期待しているクチだが、間違っても「寛大」ではない。
ここら当たりに、期待されながらも、いまいち脚光を浴びていない理由があるような気がする。

彼などは、実際に会ってみれば、魅力的で才能に溢れる人物なのかも知れない。
しかし、報道で見る限りでは、そんな印象は受けない。

現閣僚に至っては、全滅、だろう。
才能に溢れる人材は、いくらかいるのかも知れないが、この点については、全く見あたらない。

かかる大災害にあって、政府に人材無し、と言う事こそが、最大の被害なのかも知れない。

こうなれないにしても、せめて、目指して欲しいものである。

April 08, 2011

重職心得箇条10.大小軽重

(原文)

政事は大小軽重の弁を失ふべからず。緩急先後の序を誤るべからず。徐緩にても失し、火急にても過つ也、着眼を高くし、惣体を見廻し、両三年四五年乃至十年の内何々と、意中に成算を立て、手順を逐て施行すべし。

(口語訳)

政事においては、大小軽重の区別を誤ってはならない。緩急先後の順序も誤ってはならない。ゆっくりのんびりでも時機を失することになり、あまり急いでも過ちを招くことになる。着眼を高くして、全体を見廻し、両三年、四、五年ないし十年の内にはどうしてこうしてと心の中で成算を立て、一歩一歩と手順を踏んで実行しなさい。

出典:本章冒頭トピック参照


これは、洋の東西を問わず、時代の新旧を問わず、常に成り立つ警句だろう。

経済学の世界では、短期を半年~1,2年、長期を5~10年で分けて考えていた。(*)

江戸時代末期の学者とは思えない先進性に富んでいる。
改めて見て、驚いてしまった。

かつて、「兵は拙速を尊ぶ」と言う言葉もあった。これは、用兵に関しては、多少問題があっても、素早さを第一としなければいけないという言葉だ。
確かに、相手が攻め込もうとしている時に、じっくり時間を掛けて、完璧な防御策を講じていては、間に合わなくなる。とりあえず、守りを固めないといけないのは、火を見るよりも明らかである。

しかし、平時の組織の運用となると、話は異なってくる。

拙速でも良いから、とにかく、急を要する案件。
国家百年の大計を考え、慎重に実行に移すべき案件。
そして、その中間の案件。

たとえば、今まさに直面しているのは、被災住民のケア。
完璧を期して、慎重に検討していたら、被災住民は、皆、バタバタと倒れていくことだろう。

しかし、原発の是非は、早急に結論を出して良い問題ではない。電気の需要は、増えこそすれ、減ることは考えにくいからだ。一時の感情に流されず、じっくり考えないといけない。

仮設住宅などは、その中間に位置する問題だ。
急げばいいとばかりに、水が引いた場所に建ててしまったら、余震で津波が再度襲った場合に、とんでもないことになる。
ある程度の目算を立ててから、実行すべきだ。でも、そんなにゆっくりはしていられない。

やはり、この一文の本質は、全くの平時にこそ、もっとも意味を持ってくる。
それも、うまくいっている時にこそ。

ファミコンで笑いが止まらなかった頃の任天堂。
それを一気に挽回したPSのSONY。
大企業病に冒され、目も当てられない羽目に陥った三菱自動車。

いくらでも、例が上げられる。

平時にこそ、肝に銘じないといけない警句である。


(*)
マクロ経済学の用語だそうだ。最近では、需要と供給のバランスなどによって区別し、期間では分けないらしい。

February 01, 2011

重職心得箇条9.刑賞与奪

(原文)

刑賞与奪の権は、人主のものにして、大臣是を預るべきなり、倒に有司に授くべからず、斯の如き大事に至ては、厳敷透間あるべからず。

(口語訳)

 刑賞与奪の権は主君のもので、大臣がこれを預るべきであり、逆様に部下に持たせてはならない。このような大問題については厳格にして、ぬかりのないようにしなければならない。

出典:本章冒頭トピック参照


この一文の核心は、「斯の如き大事」と言う点だろう。
今までの為政者は、このことを肝に銘じていただろうか。
権力者の当然の権利として、当たり前のように享受していなかったか。
通例として、それを扱う部署があり、それに任せきって、何も把握していないなどと言うことが有りはしなかったか。

「この一点に関しては、天地神明に誓って、一点の誤りもない」
と、断言できる者がいるのか。

「泣いて馬謖を斬る」と言う言葉がある。
これは、武将である馬謖を、自分の子供のようにかわいがっていた諸葛孔明が、自分の指示を無視して独断専行に走ったあげく、軍全体を壊滅の危機に追いやった責任をとらせて処刑した故事に基づく。
自分の後継者に、と、考えていた節もあり、それはそれは断腸の思いだったろう。
しかし、建国後間もない蜀にあって、また、老い先短い自分亡き後の国家の運営のこともあり、厳格な法の適用は不可避だった。
で、泣いて…となる。

このように、国家全体の大義だけを念頭に置き、刑賞与奪に当たっている政治家がいるのか?
今一度、自らを振り返って貰いたい。

党内の権力争いや、野党からの突き上げ回避のためだけに、処罰しようとしている某宰相の覚悟とは、別次元であることだけは書いておこう。